2. 培養細胞からの核抽出画分の調整
ここでは100 mmの培養皿3枚にconfluentになるまで培養した細胞からの核抽出画分の調整を延べる。総ての操作は低温で行う。
細胞は薄く撒いてconfluentになるのを待つのではなく、2-3日に一度は開きなおして丁寧に培養すれば、生きの良い綺麗な細胞からの核抽出物を得ることが出来る。
必要な器具:Rubber
Policeman、Falcon round bottom high-clarity polypropylene tube
with snap cap、高速冷却遠心機(卓上でも良いが固定ローターの方がペレットが斜めに落ちるのでbufferの除去操作が容易)、卓上超遠心機
Buffer:
buffer A: 10
mM HEPES (7.9) buffer C: 20
mM HEPES (7.9)
1.5
mM MgCl 1.5 mM MgCl
0.5
mM DTT 0.5 mM DTT
0.5
mM EDTA 0.5
mM EDTA
1.0
mM PMSF 420 mM NaCl
20
% glycerol
1.0
mM PMSF,
aprotinin, leupeptin, pepstatin
(これらは適当濃度)
1.
3枚のプレートから培養液を吸引除去し、2 ml/plateのPBSを加え、rubber policemanで細胞を搔き取り、3枚分を1本の14 mlのFalconのチューブに移す。6000 rpm x 2 min 遠心分離して、上澄みを吸引除去する(ペレットのある方を下にチューブを斜めにして、ペレットを吸い込まないように注意する)。
2.
3 mlのbf Aを加えてピペッッターで分散し、これを5 mlの超遠心チューブ (5 ml thick wall polycarbonate, Tabletop
Ultracentrifuge TL100) に移し、10,000 rpm x 2 min超遠心分離する。
3.
上澄みを除き、超遠心チューブの中でペレットと同量のbf C(目分量でペレットと同じ程度の体積) にピペットで分散し、65,000 rpm x 10 min で超遠心する。
4.
上澄み(核抽出画分)を1.5 mlのチューブに移し、一部は蛋白定量に回す。タンパク質として、約2-5 mg/ml あれば問題ない。核抽出画分は液体窒素で凍結して、超低温冷凍機(-70 ℃)で保存する。
注)
A)
注意点は組織からの抽出とほぼ同様である。特に細胞からの場合は、3のステップでbf Cを増やしすぎないことが重要で、Gel Shift Assay (Gel Retardation
Assay) に使用するのみであれば、10-20 microL もあれば十分である。
B)
この方法で得た核抽出画分は、毎回液体窒素で凍結する限り、何回も溶かして使用することが出来る。