2013年6月14日金曜日

大腸菌で発現したタンパク質の精製6:DEAE Sepharose 使用の具体例

大腸菌で発現したP450c21Ni-NTA agaroseで精製後、DEAE Sepharoseを素通りさせ、それを更にSP Sepharoseで精製する。ここでは、DEAE Sepharoseを素通りさせる過程を具体的に示す。
必要なバッファー:
Buffer E:
20% Glycerol
0.1 mM DTT
0.1 mM EDTA
1.5% NaCholate
1% Tween 20
0.1 mM PMSF

Buffer F:
 20 mM KPi (7.4)
20% Glycerol
0.1 mM DTT
0.1 mM EDTA
1.0% NaCholate
0.1% Tween 20
0.1 mM PMSF

Buffer G:
50 mM KPi (7.4)
20% Glycerol
0.1 mM DTT
0.1 mM EDTA
1% NaCholate
0.5%    Tween 20
0.1 mM PMSF
20 mM imidazole

Buffer H:
60 mM Imidazole-AcO (7.4)
20% Glycerol
0.1 mM DTT
0.1 mM EDTA
1% NaCholate
0.5%    Tween 20
0.1 mM PMSF


樹脂はDEAE Sepharose (Fast flow)を内径2.7 cmのカラムに5-6 cmの高さとなるように、buffer Fで平衡化して詰める。

1)Ni columnからの溶出画分を、同じvolumebuffer Eで希釈する。(この段階では、イミダゾールがヘム鉄に配位しているので、うかつに透析でイミダゾールを除くと総て沈殿して発現からやり直すことになる)
2)希釈したP450を含む溶液を樹脂を乱さないようにカラムに加える。この時の流速は5-6秒に1滴とする。総ての溶液を加えて樹脂を素通りさせる。
3)ほぼ総ての溶液が樹脂に吸収され、上部に樹脂の上部に1-2 mmとなった時点で、buffer G2-3 mlそっと加え、これが樹脂に吸収するのを待ち、もう一度、2-3 mlbuffer Gを加えてこれが樹脂に吸収されるのを待ち、10-20 mlbuffer Gで押し出した後、40 mlbuffer Hで残りを出し切る。
4)適当なフラクションをピックアップして、CO-スペルトルを測定し、回収する画分を決める。
5)回収したフラクションは、一部電気泳動用に分けておき、総てを液体窒素で凍らせて、-80度で保存する。

注)コール酸はDEAE Sepharoseに吸着する。このために、一部P450は軽くカラムに吸着するが、buffer Hで溶出される。

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