大部分の哺乳動物のP450はヒドロキシアパタイトでの精製が可能である。ヒドロキシアパタイトは、DEAE-,
CM-Sepharoseなどとは性質が異なるので、これらのカラムの後に使用することができる。相対的に吸着容量が小さいこと、粒径が小さいものが一般的で、樹脂の粒がもろいため壊れ易く、カラムが詰まり易いなど、慣れないと扱いにくい面がある。
Bio-Radのものが一般的で、最近では、樹脂がくだけ易い性質を改良したセラミック担体のものが普通のようである。
ここでは、大腸菌で発現したアロマテースを、Ni-agarose、DEAE-Sepharoseで精製した後の、3番目のカラムとして用いる例を示す。
DEAE-Sepharoseで素通りしたaromataseサンプルのbuffer組成:
Buffer E:
90 mM KPi (7.4)
20% Glycerol
0.1 mM DTT
0.1 mM EDTA
1.0% NaCholate
1.0% Tween 20
1.0% Emulgen 913
Hydroxyapatite column (内径2.7 cm x 5-6 cm)
必要なbuffer:
Buffer F:
20% Glycerol
0.1 mM DTT
0.1 mM EDTA
1.0% NaCholate
1.0% Tween 20
0.1 mM PMSF
Buffer G:
20 mM KPi (7.4)
20% Glycerol
0.1 mM DTT
0.1 mM EDTA
1.0% NaCholate
1.0% Tween 20
0.1 mM PMSF
Buffer H:
30 mM KPi (7.4)
20% Glycerol
0.1 mM DTT
0.1 mM EDTA
1.0% NaCholate
1.0% Tween 20
0.1 mM PMSF
Buffer I:
125 mM KPi (7.4)
100 mM NaCl
20% Glycerol
0.1 mM DTT
0.1 mM EDTA
1.0% NaCholate
1.0% Tween 20
0.1 mM PMSF
1)上記DEAE-Sepharoseからの素通り画分を、3 volumeのBuffer Fで希釈する。
2)これを、予めBuffer
Gで平衡化したHydroxyapatiteに通す。
3)カラムを10-15 mlのBuffer Gで洗浄する(5-6秒に1滴)。
4)10-15 mlのBufer Hで洗浄する(5-6秒に1滴)。
5)Buffer Iで溶出する(12秒に1滴)。
注1)Hydroxyapatiteは、リン酸バッファーの濃度依存性で溶出される。
注2)対象により、溶出の際に、凝集し沈殿となる、又は、溶出されなくなることがある。この場合には、基質を加える事で、タンパク質の構造がコンパクトになり、凝集をある程度防ぐことができる。
注3)洗浄行程は、30-125
mM KPiのグラジエントでも良い。
注4)特に、aromataseは疎水性が高く、detergent存在下でも、容易に凝集してカラム上で変性する。これを避ける為には、androstenedioneを加えるが、通常のP450と異なりこれを加えると CO差スペクトルがでなくなる。
注4)特に、aromataseは疎水性が高く、detergent存在下でも、容易に凝集してカラム上で変性する。これを避ける為には、androstenedioneを加えるが、通常のP450と異なりこれを加えると CO差スペクトルがでなくなる。
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