発現ベクターの作成も、小さなことを知らないと徒に時間を浪費することになる。ここでは、既にcDNAを含むプラスミドを入手できている状態から解説する。
手順としては、
1)PCRによるインサートの合成(N-末はNdeI、仮にC-末はHindIIIとする)。
2)PCR産物(cDNA)をミニゲルから単離精製。
3)精製したcDNAをpUCまたはpBluescript(pBS)に挿入。
4)インサートの入ったpUCまたはpBSをminiprepで単離し、インサートのDNA配列を完全に確認する。
5)インサートをNdeI/HindIIIで切り出し、pETに挿入し、DH5など、T7 RNA polymeraseを持たないホストに導入する。
6)transformantからプラスミドを単離し、NdeI/HindIIIで切って、インサートが切り出されることを確認出来たプラスミドを、発現ベクターとして採用する。
7)この発現ベクターをBL21系のホストに導入し、ポジティブクローンを発現用の大腸菌として、1mlの一夜培養を行う。
8)一夜培養液を用いて、大腸菌でタンパク質を発現する法8に従って、IPTG
screeningを行う。この方法により、誘導時のIPTG濃度を決めるというのは、実はもっともらしい嘘である。
9)IPTG
screeningにより選択したクローンを用いて発現の実験を行う。誘導時のIPTG濃度は、通常0.5 mMを用いることができる。
次回分からは、上記の手順に従って、発現ベクターの作成について詳細を説明する。
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