2013年8月2日金曜日

大腸菌でタンパク質を発現する法24:発現ベクターの作成2

 発現ベクターpETcDNAを挿入する際、PCRによりN-末端とC-末端を整える必要がある。従って、先ずPCR用のN-末とC-末のオリゴDNAをデザインし発注するが、その前に、実験のデザインを明確に決めておく事が肝要である。以下の説明は、簡便の為に、インサートのN-末端とC-末端は、NdeI/HindIIIとして話を進める。

方法1) 一般的には、PCRフラグメントをそのまま、PCR後に、あるいは、PCRフラグメントをゲルから切り出した後に、NdeI/HindIIIで切りそろえ、pETNdeI/HindIIIに挿入し、pET内でinsertの配列を確認して、そのまま発現へと進む方法が良くとられる。
短所1PCRフラグメントをNdeI/HindIIIで切りそろえる効率はいまひとつ安定せず、pETへの導入で正しいクローンが得られないことがある。
短所2pETはコピー数が少ない為、sequenceingの為に単離したプラスミドの大部分を使うことになり、プラスミドのストックに不安を感じる。
長所1)操作の手間が少なく、方法2に比べれば、うまく行けば1週間は早く発現用のプラスミドを得ることができる。

方法2) PCRフラグメントをblunt endとして、pUCまたはpBS (pBlueScript)SmaI又はEcoRVに挿入。insertの配列を完全に確認し、クローニングベクターからNdeI/HindIIIでフラグメントを切り出して、pETNdeI/HindIIIサイトに導入し、単離したplasmidから、NdeI/HindIIIでフラグメントが切り出せることを確認する。
短所1)操作が多いので、方法1に比べ1週間程余計にかかる。
長所1pBSはコピー数が多く、miniprepの半分程でsequencingには十分である。また、残りは、フラグメントを切り出してpETに入れる為に十分な量を確保できる。
長所2)この種の操作に慣れている者であれば、結果が非常に安定しており、失敗してもう一度やり直すということが起こらない。

方法1は、プロトコールを見れば、手間が少なく、2の方法より1週間程掛かる時間も少なくてすむ為に、多くの人はこちらを選ぶ。私が方法1ではなく2を用いていることの理由は、失敗する事が無く予定通りにモノを得ることができる為である。初心者の場合には、いずれの方法を取っても運次第なので、どちらが良いという事も無い。 


ここでは方法2を用いる事を前提に話を進める。

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