以下に、Ni-NTA
agaroseを用いた精製の具体例を示す。
必要なバッファー:
Buffer A:
50 mM KPi
(7.4)
500 mM NaAcO
20% Glycerol
0.1 mM DTT
0.1 mM EDTA
1.5% NaCholate
1% Tween 20
0.1 mM PMSF
Buffer B:
50 mM KPi
(7.4)
500 mM NaAcO
20% Glycerol
0.1 mM DTT
0.1 mM EDTA
1.5% NaCholate
1% Tween 20
0.1 mM PMSF
20 mM Imidazole (0.136 g/100 ml)
Buffer C:
20 mM KPi (7.4)
20% Glycerol
0.1 mM DTT
0.1 mM EDTA
1% NaCholate
0.5% Tween 20
0.1 mM PMSF
20 mM Imidazole
Buffer D:
100 mM Imidazole-AcO (7.4)
20% Glycerol
0.1 mM DTT
0.1 mM EDTA
1% NaCholate
0.5% Tween 20
0.1 mM PMSF
注1)KPi (7.4)は、500 mMのリン酸バッファーをオートクレーブにより滅菌し、保存したものを使用。
注2)Buffer A, B, Cは、PMSFを除く総てを含む溶液を調整した後に、NaOH水溶液、又は酢酸でpHを7.4に合わせる。(重要)
注3)Buffer Dは、Imidazoleはパクダーで加え、PMSFを除く総てを加えてから、酢酸にてpHを7.4に合わせる。
注4)PMSFは総てのケースで、使用の直前に加える。
操作:
0) 蛋白質は、buffer Aで細胞から抽出したものを使用する。
1) 前日にNi-NTA agaroseを高さ3-4 cmとなるようにカラム(内径3 cmのオープンカラムを使用)に詰め、Buffer Aで平衡化する。
2) 大腸菌抽出液をカラムに通す。流速は、6秒に1滴が落ちる程度。
3) 大腸菌抽出液が総て通り、樹脂の上に2 mm程度を残すのみとなった時、スポイドでbuffer Bを取り、カラム上部の壁を洗うように回しながら、樹脂の上部を乱さないように、buffer Bを樹脂の上5 mm程度になるまで加え、再び、樹脂の上に液が2 mmとなるのを待って、もう一度同じことを繰り返す。この操作で、カラムの壁についた蛋白質を奇麗に洗い流すと同時に、大腸菌抽出液を完全に樹脂の中に通してしまう。その後、樹脂の上部を乱さない様に、buffer Bをカラムの上まで加える。buffer Bが減ってきたら更に追加し、全量で50 mlのbuffer Bでカラムを洗う。
4) 次に、同じ要領で、buffer Cでカラムを洗う。この行程は、イオン強度を落とす目的がある。
5) buffer Cが樹脂の上2 mm程度になったとき、同様にしてbuffer Dに切り替え、目的の蛋白質を溶出する。溶出の流速は、12秒に1滴くらいまで遅くする。全体で50
ml程度のbuffer Dを用いて、目的蛋白質を完全に溶出する。
6) 溶出した蛋白質は、解析用に少量のサンプルを1.5 mlのチューブに取り、総て液体窒素で凍らせて、-80度で保存し、活性、SDS-PAGEなどで確認した後、プールするフラクションを決める。
注1)2−5までの行程が、1日で終わるように時間調整する。
注2)目的蛋白質が出始めた最初のフラクションは捨てる。
注3)翌日、buffer D 25 mlでカラムを洗った後、buffer Aで平衡化しておくと、そのまま次の精製に使用できる。3回くらいは使用可能で、3回使った後、樹脂は捨てている。樹脂を再生して使用する方法も発表されているが、手間と効率を考えると、勧められない。
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