2013年1月28日月曜日

大腸菌でタンパク質を発現する法14:タンパク質の回収1

大腸菌からタンパク質を回収する為には、1)凍結誘拐を繰り返して細胞を破壊する、2)フレンチプレスにより細胞を破壊する、3)超音波破砕(sonication)により細胞を破砕する、などがある。1)は簡便であるが、ものにより標的タンパク質が失活する不安がある。2)と3)はあまり差は無いが、2)はある程度以上のスケールが必要であり、3)の方が小スケールでも大スケールでも可能であり、目で見ることができるので分かりやすい。従って、私は3)を使っている。

超音波破砕については、タンパク質が変性するのでは、タンパク質が切れるのでは、など心配する向きがある。50から60 kDa程度の大きさ以下のタンパク質に限って言えば、sonicationによる変性、切断などは全く心配する必要はない。

超音波破砕の法

Lysozyme buffer: 50 mM Tris–HCl pH 7.2, 250 mM
sucrose, 0.5 mM EDTA.

Extraction buffer: 50 mM potassium phosphate, pH 7.4, 500 mM sodium acetate, 0.1 mM EDTA, 0.1 mM DTT, 20 % glycerol, 1.5% sodium cholate, 1.5% Tween 20, and 100 μM PMSF

以下の操作はすべて4度で行う。

1. 大腸菌を遠心チューブで低速遠心(4000 rpm × 15 min (tabletop centrifuge Allegra X-15R, Beckman Coulter, Fullerton, CA, USA))して回収する。
2. 大腸菌のペレットを、適量の Lysozyme bufferでサスペンドしながら50 mlのコーニングのチューブに移し(チューブ当り10 ml以下のペレットとなるよう考えて回収する。)、低速遠心し、上澄みを捨てる。
3. 25 ml の Lysozyme buffer with 0.5 mg/ml lysozyme でサスペンドして、低速遠心して上澄みを捨てる。
4. 25 mlのExtraction bufferを加え、かき混ぜないでそのまま、sonicationを行う。超音波破砕機のプローブの先端で、ペレットが自然に混ざるようにしながら、細胞を破砕可溶化する。この時、温度が上がらないように、20−30秒ごとに手で触ってみて、温度が上がってきたら氷中にしばらく付け、温度が下がってから再度sonicationを行う。液がクリアーになり、DNAが寸断されて粘度が下がれば終了する。
 5. これを超遠心により(Beckman TL100; 95,000 rpm × 10 min at 4◦C)ペレットを除き、上澄みを回収する。
6. 回収した上澄みは、液体窒素で凍らせて、-80度で保存する。

0 件のコメント:

コメントを投稿