2013年1月20日日曜日

大腸菌でタンパク質を発現する法9:乾式振とう培養器その1

振とう培養器としては、乾式で、クーラーが付いたものが必要である。
私が使用していたものは、3LのFernbach Flaskのホルダーを6個設置できる、つまり、6本のフラスコを同時に振ることのできるタイプであった。
このタイプの培養器には、重要な欠陥がある。6本のフラスコを同時に培養してみればすぐに分かることであるが、6本それぞれに大腸菌の増殖速度が異なり、その結果、誘導してから1夜経つと、目で見ても分かる程の差が生じ、その結果、培養液の粘度にもフラスコごとに差が生じ、振とうの様子にも大きな差が生じる。振とうは一枚の板の上に6本のフラスコを載せて全体を動かしているので、フラスコ間に振とうの差が生じるとは考えにくい。従って、増殖速度に差が出る理由としては、恐らく、フラスコの位置とチャンバー内の空気の流れの問題で、空気の出口に近いフラスコと遠いフラスコとの間にわずかな温度差が生じ、その結果、大腸菌の増殖速度に際が生じるものと考えられる。
実際に、pHのタイムコースを測定すれば、フラスコごとの増殖速度の差は歴然としており、6本のフラスコの培養を同時に開始し、同時に誘導すると培養液がpH7となる時間はまちまちであり、すべてのフラスコに付いてpH7になるのを待って別々のタイミングで回収しても標的タンパク質の発現には大きな差が生じる。
従って、私は、常に一度に2本のフラスコのみを空気の出口に近いホルダーにセットして、発現を行ってきた。それでもでも、2本のフラスコの増殖速度にはわずかな際があり、同時に誘導を行い、それぞれの培養液のpHが7になるのを待って別々のタイミングで回収をするのが常である。
2本だけの培養であれば、このような方法によりあまり大きな発現レベルの差もなく、高い再現性で標的タンパク質を発現することができる。



0 件のコメント:

コメントを投稿