2013年1月21日月曜日

大腸菌でタンパク質を発現する法10:乾式振とう培養器その2

振とう機のチャンバー内には温度の不均一な分布がある。
その為に、6本のフラスコを同時に培養すると大腸菌のgrowthにわずかな差が生じ、これが誘導のタイミングのずれとなって、その結果、非常に大きな標的タンパク質の発現レベルの差となって現れる。

通常このようなことは明確にはならない。なぜなら、6本のフラスコを一度に培養する場合、誰もが同時に誘導し、同時に大腸菌を回収し、6本分を一緒にして発現レベルを見るだけである。しかし、これでは発現していない大腸菌で発現レベルの高い大腸菌を薄めているだけであり、6本を同時に振ることは、扱うvolumeを増やし、操作時間を増やし、不純物の量を増やすだけであり、何の意味も無い。
 機会があれば、一度6本をそれぞれ別々に回収してみれば、回収される大腸菌のペレットのvolumeが異なっていることに気づくことができる。また、それぞれのフラスコのタンパク質の発現レベルを測ってみれば、発現レベルの差は一目瞭然である。


振とう機のメーカーが丁寧に設計をすればこのような問題は簡単に解決できるはずであるが、振とう機メーカーは、チャンバー内のわずかな温度分布により、発現にこれほど大きな差が生じるという認識はない。


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